INTRODUCTION

京都下町で愛される実在カフェを舞台に
“人生のやり直し”を温かに描く群像劇

いつ誰に降りかかるかもしれぬ「事実無根の罪」と、どこの家にも潜んでいる「家族の問題」。
これらが複雑に絡み合い、翻弄される父娘の姿を、京都の下町情緒あふれる風景のなかに映し出す。
もう長いあいだ止まったままの家族の時間。しかし、「事実」より大切なものに気づいた時、
人生の時計の針は再び新たな一歩を刻み始める──

PRIZE

Official Selection ,Semi-Finalist
  • ・2024年6月 ロンドン国際フィルムメーカーズ映画祭
  • ・2024年7月 シカゴフィルムメーカー賞
  • ・2024年夏期 イスタンブール映画賞
Official Selection
  • ・2024年6月 NYリフトオフ映画祭
  • ・2024年5月 パキスタン・IFAインディーズ映画賞
  • ・2024年11月 アメリカ リホボスビーチ インディペンデント映画祭
  • ・2024年12月 ギリシャ ブリッジズ国際映画祭
  • ・2024年10月 キプロス国際映画祭

STORY

誰だって多かれ少なかれ
「事実無根の罪」を着せられながら
生きている──。

京都の下町にある喫茶店「そのうちcafe」は子供らや地元の常連客にとって憩いの場だ。そんな店に、ある日「大林沙耶(さや)」と名乗る若い女性(東茉凜)がアルバイトとして働き始める。高校を卒業したばかりで職歴もないという沙耶は、不器用ながらも一生懸命かつ異様なほど几帳面に毎日働き、その姿はマスターの星孝史(たかし)(近藤芳正)はもちろん、常連客の間で注目の的となっていった。

そんな沙耶の姿を店の外から盗み見ている男がいた。問いただせば、セクハラの冤罪で大学教授の職を追われ、ホームレスになってしまったこの男・大林明彦(村田雄浩)は、沙耶の元義理の父親だという。家族に迷惑をかけまいと妻と娘の元を離れた大林が唯一後悔しているのは「セクハラは事実無根である」という説明を娘にしなかったことだった。実は星もDV(ドメスティックバイオレンス)があったという妻の一方的な証言のせいで、離婚後、娘と一度も会えないままの人生を送っていた。

そこで、星は沙耶と大林の再会を画策するが、突然思いも寄らない事実が明らかになり、星たちはそれぞれの過去ともう一度向き合わざるを得なくなる。
いつ誰に降りかかるかもしれぬ「事実無根の罪」、どこの家にも潜んでいる「家族の問題」。これらが複雑に絡み合い翻弄される父娘の姿を、京都に実在する一軒のユニークな喫茶店を通して映し出す。長い間止まったままの家族の時間・・・。しかし「事実」より大切なものに気づいた時、人生の時計の針は再び動き出す──

CAST

星 孝史(55)
近藤 芳正/ こんどう・よしまさ

京都の下町で地元の常連客や子供たちに愛される喫茶店「そのうちcafe」のマスター。かつては映画監督を志し、夢破れてこの店に流れ着いたのがもう15年前の話。D Vがあったという元妻による一方的な証言によって幼少の娘と生き別れた過去がある。何より「嘘」が嫌い。

大林 明彦(56)
村田 雄浩/ むらた・たけひろ

元大学教授のホームレス。沙耶の元義理の父親でもある。大学内で大林のポストを狙う一部の企てにハマり、セクハラの冤罪によって職を追われ現在に至る。迷惑をかけまいと家族の元を離れたが、沙耶にきちんと事実を説明しなかったことだけが心残り。

大林 沙耶(18)
東 茉凜/ あずま・まりん

「そのうちcafe」で働き始めた新人アルバイト。異様なほど几帳面かつ何事にも一生懸命に取り組むその姿は、次第にカフェに集まる人々の注目の的に。ただ、その行動は謎も多く、何か隠し事があるのではないかと疑われる事に。大林明彦は元義理の父にあたる。

城田 圭一(75)
西園寺 章雄/ さいおんじ・あきお

元刑事で、痴呆症の妻・光子を優しく受け止める「そのうちcafe」の常連客。現役時代に目をかけた元受刑者・山里俊の更生していく様に目を細める。

城田 光子(68)
和泉 敬子/ いずみ・けいこ

城田圭一の妻で痴呆症を患う「そのうちcafe」の常連客。多くのことを忘れてしまう半面、「脇田さんとのお茶の約束」は常に記憶の片隅にあるよう。

徳本 正平(54)
仲野 毅/ なかの・つよし

「そのうちcafe」の常連客。アルバイトをしていた息子がいる。冗談ばかり言ってる大の虎党。

山里 俊(30)
西尾 塁/ にしお・るい

昔はヤンチャ者だったが刑事時代の城田に目をかけてもらい更生した。今ではIT企業の役員となった元受刑者。世話になった城田夫妻の老後の世話をしたいとまで申し出る。

水原 美緒(28)
しまずい 香奈/ しまずい・かな

大林をセクハラで訴えた元教え子。1人の男のキャリアを台無しにし、その家族の人生を大きく狂わせながら、自分は大学の助教として順調にキャリアを積む。

佐伯 直也(29)
小堀 正博/ こぼり・まさひろ

沙耶の母・沙織の新しい恋人。20歳近く年上の沙織との結婚を本気で考えている29歳の地方公務員。真面目で一見温厚そうだが、カッとなりやすい側面も。

中野 沙織(48)
武田 暁/ たけだ・あき

沙耶の母で大林の元妻。「大学教授の妻」から「セクハラ教授の妻」という落差に懲りたのか、新たなパートナーに選んだのは堅実な地方公務員。

リク(11)
中川 裡斗/ なかがわ・りと
コウキ(9)
白井 孝誠/ しらい・こうせい
ユウト(8)
栗野 結惺/ くりの・ゆうせい
ソウタ(7)
池田 壮良/ いけだ・そら
イノ(10)
長三 伊乃/ ながみ・いの
ルイ(4)
永尾 琉衣/ ながお・るい
少年O
中谷 悠希/ なかたに・ゆうき
盲目の少女
村上 真唯/ むらかみ・まい
フランス人旅行者・兄
Marius Aubron/ マリユス・オブロン
フランス人旅行者・妹
Manon Aubron/ マノン・オブロン

STAFF

監督
柳 裕章/ やなぎ・ひろあき

1980年8月27日群馬県生まれ。父の転勤で茨城の日立市や阿見町、千葉の松戸市で幼少期を過ごし千葉県立東葛飾高校を卒業。早稲田大学人間科学部に進学するが中退。一般企業でのサラリーマン経験を経てバンタン映画映像学院に入学。
卒業後、フリーとなり吉田啓一郎監督、五十嵐匠監督、佐々部清監督、熊切和嘉監督、山下智彦監督などの助監督に就き映画『ROOKIES-卒業-・劇場版』『半次郎』『私の男』『この道』『花まんま』、テレビドラマ『タクシードライバーの推理日誌』『科捜研の女』『鬼平犯科帳』『雲霧仁左衛門』など現在まで百を超える現場で研鑽を積んだ。2015年からは拠点を京都に移した。
2021年テレビ朝日『科捜研の女』season21第12話で初監督。2024年『科捜研の女』で第6話の監督を担当。

脚本
松下 隆一/ まつした・りゅういち

1964年生。兵庫県出身。KYOTO映画塾卒業。日本シナリオ作家協会会員。2007年シナリオ『二人ノ世界』第10回日本シナリオ大賞佳作入選(2020年に永瀬正敏主演で映画化)。主な脚本作品は映画『獄に咲く花』『母の唄が聞こえる』『氷川丸ものがたり』『チャンバラが消えた日』NHK時代劇『雲霧仁左衛門シリーズ』など。2020年には小説『羅城門に啼く』で第一回京都文学賞最優秀賞を受賞。新潮社から出版され、以降、小説『春を待つ』(PHP研究所)『ゲンさんとソウさん』(薫風社)『俠』(講談社/第6回細谷正充賞受賞)など精力的に活動中。

音楽
上野 祥/ うえの・しょう

1998年生。奈良県出身。立命館大学映像学部・同大学院映像研究科卒業。映画録音を松陰信彦氏の元で学ぶ。日本ポストプロダクション協会主催JPPAアワード2023学生の部にて録音技術部門、最優秀賞を受賞。幼少期からピアノを習い高校時代から作曲活動を始める。映像学部在学時より、録音と併せて劇伴音楽の経験を積む。

撮影
武村 敏弘 / たけむら・としひろ

同志社大学法学部卒。東映京都撮影所を経てフリーランスとなる。
同志社女子大学嘱託講師。Gallery Take two代表。
作品歴
映画 『36.8℃サンジュウロクドハチブ』『関ヶ原』(オペレーター)『TUNAガール』『魚の目』『明日授業参観いくから。』『煙とウララ』『I AM JAM ピザの惑星危機一髪』『メンドウな人々』CM パナソニック UHA味覚糖 キンチョー ミズノ ニンテンドーなど

照明
古川 昌輝/ ふるかわ・まさてる

京都出身。大阪電子専門学校映像科に在籍中、インターンとして東映京都撮影所に通うこととなり、卒業後は照明の専門会社に入社。松竹撮影所や映像京都でも、時代劇や現代劇を多く経験する。2000年に文化庁の芸術インターンシップに選出され参加。2001年市川崑監督の『かあちゃん』で技師デビューし、新人賞受賞。その後『アイラブピース』『蒼き狼』などの作品を担当する。CMでは『 USJ』『そうだ 京都、行こう。』などを数年間務める。現在フリーランス。市川崑監督、岡崎宏三撮影監督、東宝・下村一夫氏、大映・中岡源権氏、東映・金子凱美氏、安藤清人氏、松竹・林利夫氏を照明の師と仰ぐ。

録音
松陰 信彦/ まつかげ・のぶひこ

1961年、大阪生まれ。日本映画・テレビ録音協会会員。
1981年、フリーの録音助手として東映京都テレビプロダクションで、『銭形平次』(主演大川橋蔵)、『桃太郎侍』(主演高橋英樹)などTV時代劇を中心に従事した後、映画『夢千代日記』『吉原炎上』『華の乱』など助手で参加し、1991年『真夏の少年』で映画録音技師デビュー。以後、映画・TVドラマ等で活動する。
主な作品歴は『魔界転生』、『男たちの大和 / YAMATO』、『憑神』、『利休にたずねよ』、『海難 1890』、『エリカ38』(整音担当)、『名も無い日』(整音担当)など、二度の日本アカデミー賞最優秀録音賞受賞、二度の日本アカデミー賞優秀録音賞受賞。現在、立命館大学映像学部で後進の育成にも尽力している。

美術
小出 憲/ こいで・けん

1974年11月26日生。東京都出身京都府在住 育英高専(現・サレジオ高専)工業デザイン学科卒業在学中よりCFの美術デザイナー岩崎邦雄氏に師事、その後フリーとして活動を開始、20代より鳥誠会にて稲垣尚夫氏に師事。そこで美術の助手として多くを学ぶ。10年余りの助手経験の後、30代後半より美術デザイナーとして活動。
代表作品
『大奥〈男女逆転〉』10’(映画・TVドラマ) 監督:金子文紀
『Zアイランド』15’(映画) 監督:品川ヒロシ
『案山子とラケット』15’(映画) 監督:井上春生
『漱石悶々』16’(TVドラマ) 監督:源孝志
『平成細雪』17’(TVドラマ) 監督:源孝志
『鳴門秘帖』18’(TVドラマ) 監督:西谷真一、酒井信行
『小吉の女房』18’(TVドラマ) 監督:清水一彦
『やじ×きた〜元祖・東海道中膝栗毛』18’(TVドラマ) 監督:西片友樹、六車雅宣
『小吉の女房2』20’(TVドラマ) 監督:清水一彦
『薄桜鬼』20’(TVドラマ) 監督:六車雅宣、西片友樹
『忠臣蔵狂詩曲No.5 出世階階段』21’(TVドラマ) 監督:源孝志
『磯部磯兵衛物語』22‘(BSドラマ) 監督:細川徹
『グレースの履歴』 監督:源孝志
その他、一般店舗、住宅リフォームなどのデザインもなす。

奇跡のような新しい出会いが作った、
京都らしい映画

京都を拠点に、プロの技術者、地元の有志スタッフ・映画学生たちが集い、奇跡のような新しい出会いの元で製作された映画『事実無根』が、いよいよ地元の映画館「京都シネマ」でお披露目となります。撮影現場にもほど近く、地元の皆様にお会いできるのが何より楽しみです。
本作は小規模の自主制作映画ですが、これまでの国内上映会・試写会、海外映画祭での反響から、地域の枠だけに留まらない「人に届く力」を持った作品であると確信しています。是非多くの地域の方々にお届けし、新しい出会いの輪を広げて行きたいと思います。

COMMENT

そのうちcafe SNC

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